ACHEMA2018 出張報告

ACHEMA2018の概要

2018年06月11日(月)~06月15日(金)の日程で、ドイツ・フランクフルトのメッセでACHEMA2018が開催された。

当展示会の第1回は1920年に開催されており、3年に一度フランクフルトで開催される、世界最大規模の歴史のある化学系の展示会である。
出展社数は約3800社、来場者数は約17万人、展示会場面積は東京ビッグサイトの約4倍であり、また様々な講演が開催されており、全てを見学するには数日必要なほど広い。

筆者は欧州でのその他の予定があり、6月13日(水)1日のみの会場視察であったが、展示の要所をつかむことはできたと考えている。

第1回の開催以来、ドイツ化学技術バイオテクノロジー協会(DECHEMA)が主催しており、”ACHEMA”とは、”DECHEMA”の頭文字の”DE”を、見本市の意味であるAusstellungskongress の頭文字”A”と置き換えたものである。
出展国は全世界にわたっており、その中で欧米の主な国の出展社数は ドイツ(1687社)、アメリカ(155社)、イギリス(146社)、スイス(143)、イタリア(308社)であった。
アジアの国においては、日本(52社)、中国(353社)、インド(178社)と、中国、インドの出展社数が多く、積極的なことが分かる。

会場は熱プロセスや実験・分析技術等の11の分野に分かれており、その中で医薬品・パッケージ・保管技術分野では483社が出展していた。
ACHEMA2018の主なトピックにBiotech for Chemistry、Chemical and Pharmaceutical Logistics、Flexible Productionを掲げており、各社の展示においてこの3つのトピックを組み入れていた。

以降に、展示ブースで興味を引いた事項を記載する。

  • WFI製造装置
    PIC/S annex1の改訂案にRO膜・UF膜によるWFI製造を容認する文章が記載されたことにより、RO膜・UF膜によるWFI製造装置の展示が多く見かけられた。
    今までEUにおいて認められていなかったRO膜・UF膜によるWFI製造装置がメインストリームになる可能性もあると感じた。
  • フレキシビリティ
    或る展示ブースで、ネストシリンジ充填機の全自動装置(バッグ取り外し→タイベック蓋除去→タイベックインサート除去→プラスチックネスト搬入→充填→weight check→打栓→不良のシングルリジェクト→ネストのアイソレータからの搬出)が展示されていた。
    非常に見た目もシンプルであり、ネスト内から不良のシリンジを検出しリジェクトする機構等に関心を覚えた。

     少量多品目医薬の製造に対応した或るアイソレータでは、アイソレータ自体は共用とし、アイソレータ内の充填ラインを丸ごと入れ替えられる構造となっていた。
    各社、多品目生産に対応するために、型替えの早さや1つの型での多品目対応などを売りにしていた。

  • デジタル化、コンピューター化
    ドイツでは、industry4.0というドイツ政府が推進する製造業のデジタル化・コンピューター化を目指す国家プロジェクトがある。
    各社とも、生産装置の操作性の事前確認、教育訓練などに利用することを目的としたAR(拡張現実)、VR(バーチャルリアリティ)の活用を試みており、デジタル化への取り組みが目立っていた。

     予防保全ではなく予知保全に取り組んでいる企業もあり、装置部品の交換頻度、故障頻度などの情報、パーツの予備数、メーカー名、型番、在庫数などを随時管理し、このような多種で多量な、さらにはリアルタイム、非構造化データを含むビッグデータを処理するなどの、新しい取り組みが始まっている。

     また、製造所内で人と協働するロボット:COBOT(co-operative robot)、例えば人が生産装置から取り出した中間製品をロボットが運搬する、または、人が秤量した原料をロボットが運搬する、人が洗浄した器具を乾燥室に運搬するなど、人の動きをロボットが検知して行動し走行する”協働”の開発も始まっていた。

所見

インターフェックスジャパン2018と比較すると、ACHEMA2018ではドイツのIndustry4.0の国家プロジェクトが反映されていた。
デジタル化・コンピューター化が日本よりも進んでおり、欧州の医薬製造業現場に取り込み、製造プロセスの継続的改善に役立てる試みをしていると感じた。

しかし実態として、製薬プロセスの中の機械誤差や偶然誤差等のデータを、どこまでビッグデータとして処理し、工程改善につなげるシステムが構築されているのか、新薬開発の際のデザインスペースの考え方に反映されているのか等が筆者自身掴み切れなかった。

ビッグデータで何を実施するか、また、何ができるかを今後調査したい。