小児用製剤の剤形開発を目的とした製剤ラボ

Kセンター様の既設研究室を改修し、小児用製剤ラボとして「製剤室」「試験室」を構築しました。製薬企業の採算性から取組みの進まない小児用医薬品の開発を促すための薬物動態研究や小児用剤形の試作等、試験研究から医薬品製造までを行っていく施設作りを基本計画・基本設計からお手伝いしました。

製造・開発品目 小児用製剤
設備概要 延面積150㎡

ご検討の背景

小児用製剤は、小児用の剤形が無いため、Kセンターでは大人用錠剤を粉砕したり、試薬から院内製剤を調製して対応してきました。製薬企業に採算性の難しい製剤開発を求めるだけでなく、Kセンターからもデータを提供しながら一緒に開発していきたいとの思いから小児用製剤ラボの構築を決定しました。

主な課題

  1. 多品種の医薬品原薬の取扱い
  2. 既存建屋内の改修のため、他エリアへの影響極小化
  3. 短工期対応

平原エンジニアリングサービスからのご提案・実施内容

人・モノ動線の分離

  • 人動線とモノ動線を分離し、交叉汚染防止を考慮したレイアウトとしました。
  • モノの搬出入用に、パスボックスを設置しました。 

室間差圧の確保と運用

  • 室圧を気流優先で、製剤室>着衣室>脱衣室<廊下となるよう設定し、製剤室から廊下への原料粉の漏出防止を図りました。
  • 扉の開き勝手は、気流方向・室間差圧を考慮し、室圧が高い室側に開くようにして、扉を閉じたときに締まり方向になるよう配慮しました。
  • 着衣室の扉は、脱衣室側と製剤室側が同時に開かないようにインターロック機能を設けました。

清浄度と換気回数

  • 製剤室の空調は循環方式を採用しましたが、多品目を扱うため交叉汚染防止のため還気経路にはHEPAフィルタを設置しました。
  • クリーンエリアの換気回数は15回/時以上としました。

施工業者への助言・指導

  • 施工業者への助言・指導を行い、効率的な施工、バリデーション作業の進行を促すことで、手戻り作業を無くし、限られた工期内での完成が図れました。

 プロジェクトの成果

未だに十分に存在していない小児用剤形の開発への一路として、製剤試作室や分析実験室を保有できたことで、製薬企業が研究で必要となるデータを提供することが可能となり、小児用剤形の開発を活発化させていくきっかけとなっていくことを期待しています。