紙ベースでGMP運用を行う場合のデータインテグリティ

皆さんご存知の様に、GMPに関して世界の主要な国や機関からデータインテグリティ(以下、DI)に関するガイダンスが発出されています。ここではガイダンスの中から紙ベースのGMP運用管理面の内容を部分的にピックアップしました。尚、DIを熟知されている方々には当然の話ですので、ご容赦ください。

第2回の記事「ALCOA原則とデータインテグリティ(DI)」はこちら

多発するデータ改ざん事件

データに関する問題は医薬品産業のみならず、あらゆる産業や社会に蔓延しています。

  • 化血研問題、ディオバン事件、三菱/いすず自動車事件、くい打ちデータ偽装事件など次々に報道されてます。つい先日も神戸製鋼の問題も明らかになりました。
  • MHRAのDIガイダンスでは、「DIの問題は、悪しき慣習の結果として、またごくたまに意図的な不正行為として、すべての産業分野において、非常に注目を集めた事例として発言している」そのため、将来的には査察時にこの領域に注目していく。と述べています。

コンピュータ化やシステム化だけの問題ではない

所謂ハイブリット方式(紙で電子情報)で運用されている工場は多いと思いますが、紙を正として運用管理している製造所は内容確認が必要です。確かに監査証跡や電子記録/電子署名も大きく関連しますが、紙ベースの記録の運用管理も大きく関連します。

DIガイダンスの例を挙げますと以下のようになりますが、鉛筆書きや修正液の使用など、これまで査察時に指摘されていた項目が細かく明確に記載されています。ブランクシートの発行管理も重要となります。

記録の訂正 変更部分の上に1本線をいれ、必要に応じ、訂正の理由明記し、変更箇所のイニシャルと日付を記入。訂正は不滅インクでおこなう。
ダブルチェック 重要な工程のバッチ記録は作業の時点で指定された職員がレビュー/立ち合いを行う。
記録の記入 記録は作業と同時に記入すること。手書き記入はその業務を実行した人が行うこと。未記入項目欄は斜線を入れ、日付記入と署名すること。記録は不滅であること。
ブランクシート SOPやブランクシートの用紙は、管理された追跡可能な方法で発行管理を行うこと。(発行した全記録用紙を管理)

(PIC/S DIガイダンス8章「紙ベースシステムにおけるDI留意点」より);

今一度、確認を!

DIガイダンスはALCOA原則を採用しています。紙記録に関しても適用されます。

ALCOA原則

分析機器の監査証跡やスプレッドシートの管理等に注目が集まりますが、DIガイダンスを確認して、ALCOA原則に則り、紙の記録の運用管理に関して自己点検をしては如何でしょうか?

きっとGMP運用のレベルアップに大きく役立つことでしょう。